受注できるかどうかのカギを
握る見積り図面。
その達人になり、
山崎機械製作所の力を世に広めたい
山崎機械製作所 製造部 生産技術課
原 靖Yasushi Hara
2014年入社(井上特殊鋼)
自分の作成した図面で受注が決まり、
実際に鍛造された製品を目にする喜び。
ISSグループの一員である鍛造メーカー・山崎機械製作所は、なかでも金型を使って形づくる「型打鍛造」を得意としています。そこで私が担っている主な業務は図面作成。理系出身とはいえ、大学では電磁気の研究室に所属していたので全くの異分野でした。大学時代もCADに触れることはありましたが、操作方法が全く異なり、入社後にイチから学ぶことに。社内の独自教材を元に先輩に指導してもらいつつ、実際に使いながら覚えていきました。
これまで作成してきたのは、お客様の仕様に合わせた鍛造の見積り図面や、受注が決まってからの金型の図面。設計の人間がお客様と直接話す機会は少ないため、営業担当が何度もお客様を煩わせなくて済むよう的確にコミュニケーションをとり、一度に必要な情報を引きだせるよう心がけています。
特に見積り図面の役割は重要です。受注できるかどうかは見積り図面の精度で決まるところが大きく、お客様を説得できるだけの提案力が求められます。上司や現場の技術者にアドバイスを仰ぎながら、一つの案だけではなくバリエーションを広げてご提案するように心がけています。お客様の仕様を満たしつつ、形状変更の提案によってコストが下がり喜んでもらえた時は何より嬉しいですね。
自分の作成した見積り図面で受注が決まり、実際に鍛造された製品を目にしたときの達成感も格別です。大きな会社だと事務所と工場が遠いケースもありますが、当社は同じ敷地内に隣接しています。描いた図面が製品になる様子を目の当たりにできるので、製品に一層愛着が湧くんです。
設計と言っても図面を書くだけが仕事ではなく、お客様へのヒアリングや現場の職人との情報交換、外注先の方との交渉もあるので、コミュニケーション力がかなり必要とされる仕事だと実感しています。そのためにも入社の頃から心がけているのは、気持ちのいい挨拶をすること。単純なことですが、「いつも元気やな~」と言われるくらい大きな声で挨拶するようにしています。日々、小さなことから信頼関係を積み重ねていくことが、仕事を円滑にし、楽しくもしてくれるんです。

どうしても図面化できなかった
複雑な製品。
早く先輩のような技術を身につけたい。
現在、部署には後輩が2人入ってきたのですが、やっぱり後輩の前だと良いところを見せたくなるじゃないですか(笑)。おかげでいっそう勉強するようにもなりましたし、責任感も増しました。「現場から帰ってきたら必ず後輩から一つ質問を受けるように」という上司からの課題があり、これを半年間毎日続けたんですが、質問に答える力が非常に鍛えられました。そんな風にして、こちらが教えるばかりではなく、彼らに成長させてもらえたことはたくさんあります。
最近では、社内安全活動のリーダーを担当しました。現場のメンバーとチームを組んで、工場見学のハザードマップをつくったんです。安全管理の徹底にもつながったと評価され、社内のコンテストで銀賞に選ばれたのもうれしかったですね。こうした機会に加え、社外セミナーにも積極的に行かせてもらえる環境なので、成長の機会は本当に多いと思います。
目下の目標は、設計技術のさらなる向上。お客様からご依頼いただくもののなかには、現物があるだけで図面のない製品もあります。最近では、これまで鋳造されていた製品をより強度の高い鍛造に変えるという提案を増やしているのですが、鋳造って加工図面がないものが多いんです。現物通り作ってほしいというご依頼に対し、実寸を測定して鍛造用の図面に起こすんですが、お客様に試作品を見ていただときに「良い出来だ」と言っていただいたり、納品したときに「鍛造化して良かった」と言っていただいた時の手応えは格別です。
ですが昨年、ゼロから挑戦した設計は、複雑すぎてどうしても2次元では表現できず…。3次元モデルを担当している先輩と一緒にお客様から直接ヒアリングを行い、先輩の力を借りて3次元CADで図面を作成。鍛造された製品を見たときは、心から感動しました。お客様の求めている形状を提案できたときの達成感はなんとも言いがたい。早く先輩のように、高度な設計技術を通してお客様に新しいモノを提案していきたいですね。

「あいつに任せたら間違いない」
そんな見積り図面の
エキスパートを目指して。
ゆくゆくは見積り図面のエキスパートになりたいんです。「あいつに任せたら間違いない」「確実に成果が出せる」と言われるような図面を描けるようになりたい。今は社内に多数ストックされている過去の図面からノウハウを学び、蓄積させているところです。なかでも不具合の事例はできるだけ多く頭に入れておくよう努めています。不具合の知識があれば、お客様からのご要望に懸念点があった際、形状や仕様に基づいた具体的な説得ができ、安心感や信頼感にもつながります。図面を見たときに、類似形状がすぐ頭に浮かぶぐらいに事例を学んで、設計者としての強みを伸ばしていきたいです。過去に鍛造されたものでも、記録に残っておらず、技術者の頭の中だけにあることもしばしば。直接教えを乞い、図面化していくのも勉強になります。
実務にかかり始めた頃は、1日1枚描くのがやっとだった見積り図面も、今では月に60枚は描けるようになりました。だけど先輩は、さらに多く描いている。そのレベルにまでいかなければ、先輩よりも大きな仕事はできません。常にスピードを心がけて修練し、3次元CADも使いこなせるようになるのが目標です。そしていつかは弊社の代表作の一つ、明石海峡大橋を吊るハンガーソケットのように、誰もが知っている製品に携わってみたい。仕事の幅をより広げて、会社に貢献していきたいと思っています。

MESSAGE
手がけるモノの大きさや
技術は圧倒的。自分たちの製品に
自信と誇りを持って携われる。
鍛造業界でここまで大きな製品をつくっている会社は国内でも多くありません。工場見学に来たお客様も、真っ赤になった数百㎏もする鉄を、ハンマーで何度も打撃するその迫力に非常に驚かれます。ただ、その裏側では職人が踏むペダルの力加減ひとつで、製品の品質そのものが変わるという繊細さもあるんです。人の力を大切にする当社だからこそ叶う技術がたくさんあり、だからこそ新しいものが提案できる。自分たちの製品に自信と誇りを持って携われます。
入社4年目になった今でも鍛造している様子は思わず見入ってしまいます。そのすごさは、現場を見てもらえれば一目瞭然。目にするだけでも価値がありますので、ぜひ工場見学に来てほしいです。そのうえで「自分も鍛造を手がけてみたい!」なんて感じてもらえたらうれしいですね。
PEOPLE
人を知る